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習志野で100年。佐野工務店が大切にする家づくり~家族のコミュニケーションや関係性を強化する「居場所」とは

インタビュー

連載「みなみが行く!」~第1回~

モックブログの新企画!「みなみが行く!」
2年目社員の高橋が、建築・工務店業界の先輩に突撃し、業界のことや家づくりのことについて教えていただくコーナーです。

第1回目は、習志野市の「佐野工務店」様にお邪魔しました。
家という箱を作るのではなく、暮らしを作るという考えの下、本物の木、自然素材、自然のエネルギーを使い、長く住み続けられるこだわりの家づくりをおこなっている工務店様です。

創業100年。さらにここから200年企業を目指し、今どのようなことを考えているのか。社長の佐野 敏之様にお話を伺いました。

先代とは違う道を志し、新たに広がった可能性

—佐野工務店様は明治41年創業。100年以上の長い歴史をお持ちです。どのようにして現在まで続いてきたのでしょうか?

1908年、この習志野の地で、初代が大工として個人で創業したのが佐野工務店の原点です。そこから代替わりしながら続いてきたのですが、三代目にあたる僕の父までは、皆、大工の棟梁でした。僕も、もちろん大工になるものだと思って幼少期を過ごしてきたのですが、実は父から大工をさせてもらえなかったんです。

小学校の卒業文集にも将来の夢は大工だと書いていたのに、「これからは、大工ではなく現場監督として、幅広い知識を習得しながらやっていったほうが良い」と言われました。父の時代は、ちょうどハウスメーカーが台頭し、家づくりの形態が変わってきたタイミングでした。住宅だけではなく、アパート、マンション、公共事業と視野が広がってきた中で、そのような考えになったのではないでしょうか。

結局僕は、大学で建築を学び、ゼネコンに勤めて現場監督を経験したあとに、家業に戻ってきました。

子どもの頃に描いていた未来とは違いましたが、ゼネコンに行って良かったと今では思っています。住宅畑だけだと得られなかったであろう知識も身につけることができましたし、住まいや建物に関して広く学ぶことで、より地域に貢献できることも増えました。

 

—実際に、100年続くというのは簡単なことではないと思いますが、佐野さんご自身は、なぜこの地で100年以上も地域の人に愛されてきたのだとお考えですか?

地域の方々の色々な相談に対して誠実に対応してきたから…ですかね。会社には、家を建てたいというご相談以外にも、戸が開かないなど、日常の細かなご相談も寄せられます。そうしたものにもひとつひとつ丁寧に対応して、根本的な原因から問題解決をするようにしています。そうやってお客様と築いてきた信頼の積み重ね、ではないでしょうか。

これは僕だけではなく、先代たちからも、大工と現場監督という違いを越えて受け継いできた価値観です。

「家」ではなく「暮らし」をつくる仕事

—家づくりにおける佐野工務店様のこだわりはどこにあるのでしょうか?

僕たちの家づくりの根底にあるのが、健康的で快適な家に、愛着を持って長く住んでほしいという想いです。そういう暮らしを実現するために大事にしているのが「居場所」づくりです。家を造っているのですが、「場」を造る仕事だと捉えています。設計する上でも、家族の関係性や距離感を大切にして形にしていくことは強くこだわっているポイントです。例えば天井の高さに変化をつけ、室内空間に奥行きを持たせたり、日の光の入り方や縦の繋がりも工夫しています。

素材という意味では、無垢の木をふんだんに使い、ぬくもりや温かみが感じられる心地よい家をご提案しています。

 

—今日のこのインタビューは佐野工務店様のモデルハウスで行わせていただいているのですが、一歩足を踏み入れた瞬間に、すごく木の良い香りがしました。また、開口が大きく、先ほどのお話にもありましたが、日の光が入ってくることによって、家の中がすごく明るくなるんだなと感じました。

外との繋がりも、設計の上でとても大切にしていることです。ここでは、窓の先に緑が見えます。視線を外に通すことによって、コンパクトでありながら広く感じる空間を実現することができています。

このモデルハウスに来ていただいた方からは、よく「すごく広いですね」と感想をいただくのですが、面積としては30坪なのでどちらかといえばコンパクトな建物なんです。

家族のコミュニケーションを生む「りんごの間取り」とは

—家といえば、大きくて部屋がいっぱいあるものに憧れがちですが、佐野工務店様では必ずしもそういった住まいを推奨しているわけではないのだとお聞きしました。

よく、建築の世界では「りんごの間取り」「ぶどうの間取り」という表現をされます。りんごの間取りとは、居間を中心として、部屋と部屋をあまり区切らず大きな1つの部屋のように捉える間取りです。一方で、ぶどうの間取りとは、部屋と部屋を区切り、独立した部屋を廊下で繋げた間取りのことです。

僕たちは前者の「りんごの間取り」を推奨しており、家の中を歩いていたら、必ず家族の誰かと会い、コミュニケーションが生まれるような家づくりをしています。りんごの間取りでは廊下をあまり作らないので、コンパクトな家でも空間を広く使えるという点に加え、温熱環境を整えやすいというメリットもあります。

大きな家に憧れる気持ちはとてもよく分かるのですが、家を建てたときの状態がいつまでも続くわけではありません。自分自身も歳をとるし、子どもは成長しやがて独立していきます。そうなったときに、大きすぎる家はメンテナンスも大変ですし、部屋が余り、納戸状態になってしまっている家も少なくありません。バランスを見極めながら、ちょうど良い暮らしをご提案することを心がけています。

 

—佐野工務店様では、「暮らし」という言葉をよく使われていますが、佐野社長が考える「暮らし」とは何でしょうか?

僕が思う「暮らし」というのは、最終的に振り返った時に、良い思い出になり「やっぱり幸せだったね」と思えるようなものです。人生は良い事ばかりとは限りません。家族と喧嘩することもあるし、浮き沈みがあって当然です。そういうドラマが行われる「場」を作りたい、というのが僕の想いです。時間が経って振り返ってみたら、色々あったけど、この家という場も含めて良かったね、と思えるような場所を提供したいんです。そのためにも、家のなかでの関係づくりを設計に落とし込むことにこだわっています。

お客様にヒアリングするときも、5年後、10年後どのように過ごしているかをイメージしていただき、それをヒントに場づくりをしています。

「木の家を造りたい!」—そしてたどり着いた山長の紀州材

—ありがとうございます。ここで少し視点を変えて、木の話を聞かせてください。
先ほど、無垢の木をふんだんに使っているというお話もありましたが、佐野工務店様では紀州・山長の木材をたくさん使っていただいております。(※モックは山長グループです)佐野社長と山長、あるいは紀州材との出会いはどこにあったのでしょうか?

これは、少し僕の過去に遡ってお話をさせていただきますね。

ゼネコン時代に担当していたのは、分譲マンションや物流倉庫などの大きな物件でした。また、僕が家業に戻ってきたときは、どちらかというと公共工事が事業の柱になっていました。木造住宅に囲まれ、木のにおいを嗅いで育ってきた僕はそのときに、自分が本当にやりたいのは「木の家づくり」なんだと気づきました。

木の家づくりを調べていくうちに、建築家の伊礼先生のブログに出会い、素晴らしい家づくりをしている方がいるんだと感銘を受けました。その伊礼先生が使っていらっしゃるのが、山長商店の木材だったんです。僕も、家を建てるなら無垢の木が良いなと思っていたんですが、無垢のデメリットは品質の管理が難しいことです。その点、山長さんはグループを通して木の一本一本まで品質管理を徹底されていることを知り驚きました。

不安定なものではなく、しっかりと管理されたものを提供していくことが、お客様の安心と安全に繋がると考え、弊社のこれからの家づくりに必要なのはコレなんじゃないかと強く思うようになりました。その後、自分自身の家を、今の佐野工務店のスタイルでつくる第一号の家として建てることになり、そのときから山長商店さんとは本格的なご縁がはじまりました。

今では構造材は全て山長商店さんから仕入れさせていただけるようになり、もう切っても切れない関係ですね。

 

—社長の中では、山長の紀州材のどんなところが良いと感じられたのでしょうか?

入り口はやっぱり、品質管理体制ですね。苗から育てて、一本一本丁寧に管理し、自社グループで製材してお客様に引き渡す。トレーサビリティもしっかりしていますし、その信頼性はやはり大きいです。実際に使ってみて感じたのは、「きれい」だということです。壁の中に隠れてしまうような材料まで、しっかりとしているんですよ。使いながら、嬉しさの反面、もったいないなとも思ってしまうほどの材料です。

 

—ありがとうございます!そのように言っていただけて嬉しいです。材料について、お施主様からも反応があったりするものでしょうか?

お客様の一人は、家の完成後にわざわざ和歌山の山長商店を訪れていた方もいらっしゃいました。このときには、お客様も材に惚れ込んでくださっているんだなと強く感じました。

知識や根拠の裏付けがあるからこそ信頼できる

—もともとは山長グループという繋がりで、佐野工務店様とモックのご縁も生まれたのですが、佐野社長から見て、モックというのはどういう会社でしょうか?

スタッフさんみんながすごく勉強されているなという印象を持っています。

モックさんの場合、単純に材料を運んで、渡して、「またお願いしまーす」と言って終わり、ではないんですよね。木材についての知識もしっかりしていますし、業界の情報も敏感にキャッチしていて補助金や断熱のトレンドなども理解した上で話をしてくれます。知識や根拠をもって提案をしてくださる会社だと常々感じています。

プレカットの打ち合わせも今モックさんに入ってやっていただいていますが、こちらが質問したことにも的確に回答してくれたり、社外の視点から意見をくださったり、とても助かっています。

—私も、これからなので、もっと勉強頑張ります!佐野工務店様では木造大型パネルもご導入いただいていますが、実際に使ってみていかがでしたか?

良い点は色々ありますが、大型パネルを使うことで、建て方のときに雨仕舞までできてしまうことに、一番有意性を感じています。

木の家づくりなので、あまり雨に濡らしたくないんです。これまでは一日の作業の後、家をまるまるブルーシートで覆っていました。雨仕舞まで、だいたい20日間くらい繰り返していたんですが、これが結構大変で…。その手間の分だけでも、かなり楽になりました。全体の工期も短縮されますし、やはり画期的だなと思います。

しかも、無垢材でできるというのもすごくありがたいです。

 

—紀州材でパネル、というのは社長の中でも大きかったのでしょうか?

佐野工務店は無垢材の家を造っているので、そもそも集成材の大型パネルはうちでは使えません。

逆に、パネルでも使える無垢材と考えると、あらためて山長商店の材はすごいですよね。精度高くパネルとして加工をしていくためには、無垢材の特性を把握していないとできないことでしょうし、改めて良いものを使っているんだなと感じます。

「200年愛される企業へ。」

—本日はありがとうございました。最後に、未来について教えてください。
佐野工務店様は「200年愛される企業へ。」というビジョンも掲げていらっしゃいます。200年というと途方もない長い時間だなと私は感じるのですが、それだけ続く会社を作っていくために、どのようにしていこうとお考えですか?

会社の規模を大きくすることはそんなに考えていません。常に進化をし続けていくためにも、新しい情報に対しては敏感でありながら、どんな時代でも当たり前のことを当たり前にやり続けていくことが一番大切なのではないかと思います。

 

—続けるために何かをやるのではなく、日々の積み重ねということですね。

そうですね。意外と当たり前のことを当たり前にやるのって単純なようでいて大変じゃないですか。面倒くさくなったり、疎かになったり…。だからこそ、それをやっていれば必然的に続いていくと考えています。

(終)

インタビューを終えて

ふんだんに使った木の香りに畳の香りが加わり、心が落ち着きずっと深呼吸していたくなるようなモデルハウスでした。

事前に「佐野工務店」とはどういう工務店さんなんだろうと何度もホームページを見て、イメージを膨らませて臨みましたが、実際にモデルルームに伺い、社長から直接お話を聞くことで、また多くのことを感じました。特にー振り返ったときに「やっぱり幸せだったね」と思える「暮らし」ーという想いにぐっとくるものがありました。家を建てる時の気持ちはもちろん、何十年先のご家族のあり方までを想った家づくりをするという強い気持ちを感じました。

インタビューの中で、佐野社長から「高橋さんは、一回きりの人生をどう暮らしていきたいですか?」と問われ、自分自身の暮らしや未来についても改めてイメージしてみました。佐野工務店様や佐野社長ご自身のこだわりを伺う中で、将来私が戸建を建てる時には、家に対して、「一生もの」「暮らしを育んでいく場所」そういう想いを抱いている工務店さんにお願いしたいなという気持ちが強くなりました。

今回、はじめてのインタビューということで至らぬところもあったかと思いますが、優しく対応いただきありがとうございました!引き続き、モックはじめ山長グループをどうぞよろしくお願い致します。

(聴き手:高橋 みなみ)

佐野工務店

明治41年創業。千葉県習志野市を中心に設計・施工を行う住宅工務店。

代表取締役:佐野 敏之様

所在地:〒275-0017 

千葉県習志野市藤崎1-11-1

ホームページ:https://sanokoumuten.co.jp/